総合診療科

3 膿皮症(皮膚細菌感染)

膿皮症とは皮膚の細菌感染を起こす用語で、原因菌はブドウ球菌が主ですが、緑膿菌や大腸菌なども原因となります。

膿皮症の発症には細菌による毒素や酵素による要因と、動物側の原因も要因となります。動物側の要因とは、動物の皮膚の構造的生理的異常(皮膚が薄い 発達した分泌腺など)や、犬種、年齢、皮膚トラブル(アレルギー、多汗症、脂漏症など)、内科疾患(ホルモン異常、腫瘍など)、生活環境(高温多湿の環境)、外傷、誤ったスキンケア、栄養状態、投薬などが原因になります。

膿皮症は病変の深さによって、表面性膿皮症、表在性膿皮症、深在性膿皮症に分類されます。

  • 表面性膿皮症:皮膚表面の細菌の過剰増殖、細菌成分による過敏反応によるもので、軽症になります
  • 表在性膿皮症:表皮や毛包に細菌が侵入して増殖する皮膚炎  膿痂疹:毛の少ない部分の表皮内に形成する大型の膿疱  表在性拡大性膿皮症:様々な程度の搔痒を伴った皮膚の表皮小環(環状に皮膚が剥けて赤い病変)   細菌性毛包炎:毛穴に一致して起こる発疹
  • 深在性膿皮症:真皮から皮下組織に炎症が波及した状態

膿皮症の診断

皮膚の病変は見た目で判断しにくく、様々な疾患から同じような症状を呈することがあります。膿皮症の鑑別疾患としては、皮膚糸状菌症、毛包虫症、自己免疫疾患、異物による肉芽腫、腫瘍などが挙げられます。これらをしっかり鑑別するためには、いくつかの検査が必要になります。

  • 細胞診検査 :細菌や炎症細胞を検出する。
  • 皮膚掻爬検査 毛検査 :皮膚糸状菌や毛包虫を検出する。
  • 真菌培養検査 :皮膚糸状菌を検出する検査。
  • 細菌培養検査 :細菌を特定し、どの抗生物質を使えば効果があるのかがわかります。
  • 皮膚生検 :腫瘍や免疫介在性疾患の診断のために行います。

膿皮症の治療

膿皮症は細菌感染ですので抗生物質を投与することになりますが、基本的には細菌培養検査結果に基づいた抗生物質を投与します。細菌培養検査は比較的高額になりますので、ご相談しながら進めてまいります。

膿皮症の治療としては、

  • 外用療法 :抗菌作用のある消毒液やシャンプー療法
  • 全身療法 :抗生物質の投与

細菌性膿皮症は文頭でもお話しした「動物側の要因」による悪化の可能性が多く、アレルギーや内科疾患が隠れていることが少なくないため、注意が必要です。抗生物質の反応が悪い場合は、全身的な検査が必要です。

抗生物質は症状が改善しても1週間は抗生物質の投与が必要です。治療は比較的長期になります。