腫瘍科

4 リンパ腫(悪性リンパ肉腫)

リンパ腫は、血液中のリンパ球が増殖する悪性腫瘍です。
リンパ腫は、腫瘍細胞の増殖する場所により、多中心型リンパ腫・消化器型リンパ腫・皮膚型リンパ腫・縦隔型リンパ腫などに分類されます。
犬では全身のリンパ節が腫脹する多中心型リンパ腫が、猫では消化器型リンパ腫が多くみられます。

リンパ腫の症状は非特異的で、食欲不振、下痢、嘔吐、多飲多尿などがあげられます。犬の多中心型リンパ腫の場合は、リンパ節の腫脹を主訴に来院される方も多いです。

リンパ腫の治療の第一選択は化学療法(抗がん剤)です。抗がん剤は、単剤投与よりも複数の抗がん剤を組み合わせた多剤併用プロトコールが優れていることが知られています。当院では、多剤併用プロトコールを用いた化学療法を行っています。また、一般的な抗がん剤が効かなくなった場合は、他の種類の抗がん剤を用いたレスキュー療法も行っています。

 

犬の多中心型リンパ腫 (リンパ節の腫脹)

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犬の多中心型リンパ腫の写真です。
頚部リンパ、鼠径リンパ、膝下リンパなど全身性にリンパ節の腫大が認められます。

 

猫の消化器方リンパ腫の画像診断

左写真は治療前のレントゲン写真です。
食欲不振で来院、胃の尾側に4センチ程の腫瘤病変が認められます。
右写真は腹腔内の超音波画像です。
白い矢印が腫脹したリンパ節、黄色い矢印は肥厚した消化管です。
細胞診検査によりB細胞性低分化型の消化器型リンパ腫と診断されました。

 

猫の消化器方リンパ腫の肉眼的所見

超音波検査により消化管穿孔の可能性があり、試験的に開腹し腫瘍を摘出した写真です。
左写真の白矢印は腫脹したリンパ節です。黄色い矢印は肥厚した消化管です。
右写真は小腸の病変部を摘出し、消化管の吻合手術を行いました。白矢印は消化管どうしを吻合した所です。