腫瘍科

2 腫瘍の確定診断方法

腫瘍といっても色々な腫瘍があり、腫瘍の性質から治療方法は異なります。
例えば、軟部組織肉腫などの腫瘍は、腫瘍の周りに広がる性質があり、一般的な外科摘出手術法では不完全切除(取り残してします)になってしまいます。また、よく見られる腫瘍で、リンパ節が腫大する悪性リンパ腫の中には、治療をしてもしなくても、予後が変わらない悪性リンパ腫(高分化型リンパ腫)もあります。
このような腫瘍には、あえて苦しい治療はせずに、無治療でも長生きできることがあります。
したがって、腫瘍学では、はっきりとした確定診断を出して治療に臨むことが必要になります。

腫瘍を確定診断するには、いろいろな検査を駆使して行われます。
レントゲン検査・CT検査・MRI検査などの画像診断検査は、どのような場所にどのような腫瘍があるかを診断します。例えば、「肝臓に直径3cmの腫瘍性病変が認められる」などです。
肝臓の腫瘍には肝細胞癌、肥満細胞腫、リンパ腫などいろいろな腫瘍が見られ、この直径3cmの腫瘍は、これらのなかのどの腫瘍なのかはわかりません。これらの中のどの腫瘍なのかを確定するには、この腫瘍から細胞を採取する必要があります。細胞を採取する方法としては、細胞診検査、組織生検による病理検査があります。
細胞診検査は針先で腫瘍から細胞を採取する方法で、患者への負担は少なく、比較的簡単に行える検査です。細胞診検査で確定診断できる腫瘍は限られておりますが、この腫瘍がどのような腫瘍の可能性があるのかを予測することができます。
組織生検による病理検査とは、腫瘍の一部、又は腫瘍全体を摘出して病理学的検査を行います。病理検査によって出された検査結果が確定診断となります。