1 整形外科疾患
整形外科疾患とは、骨、関節、椎間板、末梢神経、筋肉、腱、靱帯といった運動器に関する疾患の総称です。
整形外科疾患の動物では、歩行の異常、肢の拳上、脚の変形、肢への体重負荷の減少、筋肉量の低下、関節の疼痛、関節可動域の制限、全体的な動きの悪化といった症状が認められます。また、血液、神経、栄養、内分泌とも密接な関係があり、これらの疾患によっても運動機能障害が見られることがあります。
これらの運動の異常をいち早く発見し、また治療していくことで、いつまでも元気に歩け、動き回れる生活を送れるようになります。
こんな症状はありませんか?
- 歩き方がぎこちない気がする。
- 散歩のとき、歩く距離が短くなった。
- 散歩のとき、歩く速度が遅くなった。
- 階段を登りたがらない・駆け上がらない。
- ジャンプしなくなった。
- 誰かが帰ってきてもお迎えに行かない。
- 何となく元気がない・横になっている時間が長くなった。
- 関節を触られるのを嫌がる。
整形外科疾患の診断は問診、触診、レントゲン検査が一般的で、より詳しい検査では関節鏡検査、CT検査、MRI検査を行います。
関節の疾患では触診による検査が重要で、時に麻酔下で行う必要があります。
また、関節疾患では免疫異常や感染症も認められるため、免疫系の検査や関節液検査が必要になります。
跛行を示す動物の鑑別診断リスト
成長期の前肢の跛行 |
骨端軟骨骨折 骨折 剥離骨折 離断性骨軟骨炎(肩 肘) 肘突起癒合不全 骨端軟骨の早期閉鎖 肘関節の不一致 軟骨核の遺残 汎骨炎 肥大性骨症 先天性脱臼(肩 肘) 環軸亜脱臼 |
成犬の前肢の跛行 |
骨折 脱臼(肩 肘) 変性性関節疾患 骨・軟骨組織の腫瘍 炎症性関節疾患 橈骨の湾曲・尺骨不一致 頸椎椎間板疾患 肘関節形成不全 汎骨炎 二頭筋腱滑膜炎 棘下筋腱の拘縮 手根の過伸展 |
成長期の後肢の跛行 |
骨端軟骨骨折 骨折 剥離骨折 股関節形成不全 離断性骨軟骨炎(膝 飛節) 膝蓋骨脱臼 長̪趾伸筋腱の剥離 汎骨炎 肥大性骨症 前十字靭帯部分断裂 レッグペルテス |
成犬の後肢の跛行 |
骨折 股関節脱臼 膝関節脱臼 十字靱帯断裂・半月板損傷 アキレス腱断裂 足根関節脱臼 変性性関節症 汎骨炎 膝蓋骨脱臼 骨・軟骨組織の腫瘍 腰仙椎症候群 胸腰椎椎間板疾患 炎症性関節疾患 |