軟部外科

4 軟部組織肉腫

軟部組織肉腫摘出手術

軟部組織肉腫は間葉系細胞(骨や結合組織など、上皮でない細胞)から発生する悪性腫瘍の総称です。

具体的には線維肉腫、血管周皮腫、組織球肉腫、神経鞘腫、脂肪肉腫、滑膜肉腫などがあります。腫瘍の種類により転移のしやすさや発生しやすい場所も異なりますが、いずれも局所浸潤性が強く、発生した場所からどんどん広範囲に腫瘍が広がっていきます。

軟部組織肉腫は中高齢の犬猫に多く発生します。
病因としては遺伝、外傷、猫ではワクチン接種などが知られています。診断は、針吸引生検(細い針を腫瘍に刺して細胞を調べること)では細胞が採取され辛く、生検が必要なことが多いです。

治療のためには広範囲のマージン(腫瘍の周りの正常な組織)を含めた腫瘍の完全切除が必要になります。完全切除が不可能な場合は放射線療法を併用することもあります。転移が認められる場合は化学療法(抗癌剤)を行う事もありますが、あまり効果は高くありません。

 

軟部組織肉腫(線維肉腫)摘出手術
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左体側の皮下に10cmの腫瘤が認められ、生検検査で線維肉腫と診断されました。CT検査で腫瘍がどこまで浸潤しているかを確認し、摘出手術を行いました。
完全摘出が難しい手術ですが、完全摘出ができ完治しました。