内科

2 下痢について

 

消化器系

消化器系疾患は胃、小腸、大腸、肝臓 膵臓の疾患と非常に幅広いところになります。

 

下痢について

下痢の原因を探るにはまず初めに急性なのか慢性なのかを判断します。

急性の下痢は『突然あるいは最近始まった異常な頻度の排便と水様便』と定義され、慢性の下痢は『排便の頻度、不便の性状や量の変化が3週間以上続くあるいは再発を繰り返す状態』と定義されます。

次は、下痢の原因が小腸性なのか大腸性なのかを判断します。
これらを判断する場合には問診が重要になり、どのような徴候があるのかを飼い主さんからお聞きして判断しますので、以下の徴候があるかをよく観察してください。また、糞便検査を行いますのでなるべく新鮮な便をラップ等にくるみお持ちください。

 

急性の下痢

急性の下痢の場合は一過性の場合が多く、以下の原因が考えられます。
一般的には確定診断はせず、糞便検査などの簡単な検査を行い対処療法で反応を見ることになります。当然、重症の場合、難治性の症状が認められる場合には検査が必要になります。

  • 食事による影響
     不耐性/アレルギー、低品質の食物、急な食事の変化、食中毒
  • 寄生虫感染
  • 感染症
    ウイルス感染:パルボウイルス、コロナウイルス、その他様々なウイルス感染
    細菌感染  :サルモネラ、クロストリジウム、大腸菌、キャンピロバクターなど
  • その他の原因
    出血性胃腸炎、過敏性腸症候群、毒物の摂取(生ごみ 化学物質など)、急性膵炎、副腎疾患など

 

慢性小腸性下痢の原因

慢性小腸性下痢は難治性を示す場合が多く、疾患によっては命の危険性がある疾患になります。しっかりとした検査が必要になります。
消化管の感染症の有無、消化酵素の分泌能、特に小腸の機能を調べるためには消化管の内視鏡あるいは開腹によるバイオプシー検査が必要になります。

慢性小腸性下痢は3つに分類されます。

1 消化不良
膵外分泌不全症(EPI)など

2 非蛋白喪失性吸収不良
食事反応、寄生虫症、炎症性腸疾患、腫瘍性腸疾患などが考えられます。

3 蛋白喪失性吸収不良
腸リンパ管拡張症、重度の炎症性腸疾患、消化器型リンパ腫など