循環器科

3 心臓検査

心臓検査

一般的な心臓検査は、レントゲン検査、超音波検査、心電図検査、血圧測定、血液検査を組み合わせて行います。

 

レントゲン検査

レントゲン検査では、胸部の気管、肺、心臓、血管系の評価を行います。 症状が咳の場合、咳は心臓疾患以外にも肺、気管、咽頭などの異常でも起こります。これらのスクリーニング検査として重要になります。また、心臓肥大や心臓の形から心臓病の診断バロメーターとして有用です。また、心臓疾患から2次的に起こる肺水腫や胸水などの確認にも有用です。

下記のレントゲン写真は、正常画像と重度の心不全の比較写真なります。

正常 胸部レントゲン像

重度の僧帽弁閉鎖不全症(MMVD) 胸部レントゲン像

VHS(椎骨心臓サイズ)測定

心臓の大きさを測定する方法です。椎骨の長さを物差しにして、心臓の縦と横の長さの合計が椎骨の何個分に相当するかを測定します。一般的にVHSが10.5以上の場合には心臓の拡大が疑われ、11.5以上の場合は心臓が気管を圧迫している可能性が高いと言われています。

 

心臓超音波検査(心エコー検査)

超音波は弱いパワーでは生体において無侵襲で、生体の組織によって音響特性が異なることを利用して心臓内を観察いたします。超音波によって心臓の筋肉の厚さや心臓内腔の大きさ、弁などの構造的な異常をとらえることができます。また、超音波ドップラーを使用することにより、血液の乱流や逆流、流速をはかることができます。
心臓には4つの弁があり、どの弁がどう悪いのか? 心臓の筋肉は厚いのか薄いのか? どのくらい悪いのか? を測定することができます。

 

 

 

左のエコー画像の右の丸い陰影は、心臓を輪切りの状態で撮影した画像です。点線の部分を時間の経過とともに記録した画像が左になります。
心臓が収縮したとき拡張したときに、心臓の筋肉の厚さ、心臓内腔の大きさなどを測定しています。

 

心電図検査

心電図とは、体表面に電極を置き、心臓の電気的な活動を測定したものです。洞結節(ペースメーカー的な細胞)で生じた興奮(電気)は結節間伝導路を通って心房筋に広がり、房室結節を通過し心室筋に広がっていきます。それに伴い心臓は収縮します。この電気的な活動を測定することにより、心臓の不整脈や波形の異常から心房や心室の拡大などがわかります。

 

血圧測定

持続的な血圧上昇(収縮期160mmHg 拡張期120mmHg)が認められた場合に全身性高血圧症と診断されます。
高血圧は恐怖や興奮による一過性の場合もありますが、疾患による2次的に起こる場合も多いです。高血圧が持続すると、心臓が上昇した動脈圧に対抗した働くため、拡張期機能不全、左室肥大と二次的な弁機能不全が起こることがあります。
高血圧症が起こる原因としては、腎疾患、内分泌疾患、糖尿病、肥満や高コレステロール血症などの代謝系異常から起こる場合が多いです。また、原因不明の高血圧症も認められています。
血圧上昇が認められた場合には血液検査が必要になります。また、血圧を低下させるお薬も必要になります。

 

血液検査

心臓は全身に血液を送る臓器で、心疾患によりいろいろな臓器に影響を与えます。また、腎臓やホルモン異常などから心臓に負担をかけ、心疾患が悪化するケースもよく見られます。
特に多飲多尿の症状が認められる疾患によって、心臓が悪化していることがよくあります。
血液検査によって、心臓に影響を与える疾患を確認していきましょう。